You can view this site in English

短期・中期・長期の記憶をすべて伸ばすトレーニング法:記憶時間とリコール時間を使い分ける

中級記憶術投稿者 MemorySports読了 6分

カスタムモードの二つのダイヤル——記憶時間とリコール時間を調整すれば、三つの記憶を分けて鍛えられます。ワーキングメモリはどちらも短く、中期記憶は記憶を短く・リコールを長く、長期記憶はどちらも長く。何より正確さを先に押さえ、自分が確実に覚えられる量と時間から始めましょう。

記憶力スポーツが「あらゆる記憶」を鍛えられる理由

記憶といっても一つではありません。今見た電話番号を数秒だけ頭にとどめておくワーキングメモリ(短期記憶)、数分から数十分後に思い出す中間段階、そして何日も何年も残る長期記憶は、それぞれ働き方が違います。心理学者のジョージ・ミラーは古典となった研究で、ワーキングメモリが一度に扱える項目はおよそ7±2個だと示しました。時間が経つにつれ、そのうちの一部が長期の保存へと固まっていく過程を、記憶の固定化(consolidation)と呼びます。

記憶力スポーツが特別なのは、こうした異なる記憶を一つの練習の中で選び分けながら鍛えられる点にあります。調整するのは、たった二つの値だけです。

二つのダイヤル — 記憶時間とリコール時間

数字種目をはじめ、すべての種目のカスタムモードには時間設定が二つあります。

  • 記憶時間 — 情報を見ながら、頭の中に符号化(encoding)していく時間
  • リコール時間 — 覚え終えたあと、思い出して入力するまでに与えられる時間

この二つのダイヤルをどう合わせるかで、いま鍛える記憶が決まります。情報をとどめておかなければならない時間が長くなるほど、より長持ちする記憶が必要になるからです。カスタムモードでは、どちらの値も10秒から1時間まで設定できます。

タイプ 記憶時間 リコール時間 鍛えられる力
ワーキングメモリ(短期記憶) 1分未満 1分未満 今見た情報をすぐに思い出す速さ
中期記憶 5〜15分 10〜30分 少し時間が経ってもとどめておく力
長期記憶 30分〜1時間 1〜3時間 長く残す深い保存

ワーキングメモリ(短期記憶)を鍛える — どちらも短く

記憶時間もリコール時間も、どちらも1分未満に設定します。今見たばかりの情報をすぐに引き出す、その瞬間の集中力とスピードを鍛える練習です。

例:数字20〜30桁を記憶30秒・リコール30秒に設定し、短い勝負を何回も繰り返します。

ワーキングメモリは容量が決まっていて、無理に増やすのは難しいものです。ただ、符号化して引き出すスピードのほうは、練習するほど確実に速くなります。スピード種目の感覚をつかむのにうってつけです。

中期記憶を鍛える — 記憶は短く、リコールは長く

記憶時間は5〜15分と短く、リコール時間は10〜30分と長く設定します。覚えた情報を、ある程度時間が経つまでとどめておく練習です。リコール時間が長いほど、先に覚えた項目ほど後になって引き出すことになるので、自然と保持力が試されます。

例:数字40〜80桁を記憶10分・リコール20分に設定し、焦らず経路をたどり直しながら思い出します。

長期記憶を鍛える — どちらも長く

記憶時間もリコール時間も長く(記憶30分〜1時間、リコール1〜3時間)設定します。情報を深く符号化し、長くとどめておく、長期保存をねらった練習です。

一つ知っておいてほしいことがあります。いまはリコール時間を最大1時間までしか設定できません。そのため、理想である1〜3時間の保持は、まだ一つのセッションでそのまま再現するのは難しく、1時間の枠内で練習することになります。(リコール時間の上限は、今後広がる可能性があります。)

何日かにわたって同じ資料を取り出し直す本格的な数日おきの復習まで取り入れたいなら、フラッシュカード学習と間隔反復のスケジュールを備えたmemorynotes.appを併用するのがおすすめです。ノートをフラッシュカードにしておけば、翌日・3日後・1週間後と間隔を広げながら、復習を自動で管理してくれます。符号化のスピードと一つのセッション内での保持力は記憶力スポーツで鍛え、数日・数週間にわたる長期定着はmemorynotesで固める——この二つはうまくかみ合います。

一つのセッションを区間で分けて覚える(上級者向けのコツ)

同じセッションの中でも、区間ごとに戦略を変えると保持力が上がります。カギになる原理は、長い一覧では、最初に覚えた情報が真っ先に薄れていくということです。あとから入ってくる情報が干渉し、時間も経つため、思い出すころには先頭の項目が最ももろくなっています。

そこで、区間ごとにこう分けます。

  • 序盤 — 最も長く残る方法で、しっかり刻み込みます。記憶の宮殿に鮮明な場面として保存し、セッションの中で間隔反復として見直す候補にしておきます。
  • 中盤 — イメージ化を中心に場面を作りながら、流れをつないでいきます。
  • 最後 — すぐに引き出す部分なので、さっと見て、ワーキングメモリに収めておきます。

セッションの中で行う間隔復習は、たとえばこんなふうに組めます。

記憶時間が5分なら、最初の3分で全体の3分の2まで覚えたら、いったん最初に戻って復習します。続いて1分30秒で残りを覚え、最後の20〜30秒で前半をもう一度見返します。

三つの区間の比率は、人の記憶力や戦略によって変わります。ふつうは序盤と中盤を同じくらいにして、最後の区間はワーキングメモリの容量の限界があるため、覚える量や時間が増えるほど比重を小さくしておくのが安全です。

初心者が最もやりがちな失敗 — 正確さが先

いちばんよくある失敗は、最初から自分の力をはるかに超える量を覚えようとすることです。欲張ると途中の記憶がところどころ抜け落ち、その不安がほかの部分まで揺さぶってしまいます。

記憶力も記憶術の腕も、正確さを優先したときに伸びます。カスタムモードで、自分が確実に覚えられる量と時間に合わせて、一段ずつ階段を上がっていきましょう。成功率が安定してきたら、そこで量を少し増やすか、時間を少し縮めればいい。無理な1回よりも、正確な10回のほうが、実力をずっと速く引き上げてくれます。

今日から試せるトレーニングの流れ(例)

  1. ウォームアップ — ワーキングメモリ。数字20桁、記憶30秒・リコール30秒で2〜3回。感覚と集中を呼び覚まします。
  2. メイン — 中期記憶。数字40〜80桁、記憶10分・リコール20分。焦らず、正確さを守ります。
  3. 仕上げ — 長期記憶。数字100桁以上、記憶30分・リコール最大1時間。週に1〜2回で十分です。

テクニックがまだ手になじんでいないなら、まず数字をすばやく覚える方法記憶の宮殿の作り方を身につけましょう。純粋な記憶の幅を測ってみたいなら、数字記憶トレーニングが役立ちます。

よくある質問

どの種目で練習するのがいいですか?

変換表(イメージの対応づけ)を備えた種目なら、何でも大丈夫です。数字がいちばん取り組みやすく、カードや単語へ広げていけばいいでしょう。大事なのは種目そのものではなく、記憶時間とリコール時間の組み合わせです。

リコール時間を1時間より長くしたいのですが。

いまは一つのセッションのリコール時間が最大1時間です。数日おきの本格的な復習を目指すなら、memorynotes.appの間隔反復機能を併用することをおすすめします。

三つのタイプを毎回すべてやるべきですか?

目標に合わせて選べば大丈夫です。とっさのスピードがほしいならワーキングメモリを中心に、大会の長時間種目や長く残る保存が目標なら長期記憶を中心に配分しましょう。

このガイドを読み終えました

次のガイドへ進みましょう。